マシンそのものは何も問題無さそう。しかしファイナルが合わなすぎ。
決勝用にかなりロングめにしたのだが、唯でさえヘアピンやシケインは2速まわりのため苦しいのに(ノーマルミッションの辛さ)。これは要変更だな...。
さすがに緊張してきた。
かつて観客として見に来た時、迫りくる8耐のスタートへの緊張感と、サイティングラップを走るライダーすべてに対し、妙にゾクゾクしたもの。今はゾクゾクさせる立場なんだな、なんて思うと、心地よい緊張とこの上ない幸せを感じる。
走り出してみると、自分自身もそうだけど、お客さんも「いよいよだな...」ってムード。それがコースサイドから伝わってくる。
選手紹介 |
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ウォーミングアップラップのスタートまでの間に、選手紹介が行われるが、例によってスタート位置が後ろのほうなので、ぼくらのところまで来るのには時間がかかる。 今回もどのくらい拍手がもらえるかな?なんて期待してたのだけれど、ウォーミングアップラップのスタート直前になってしまって、本人は紹介されていることにまったく気付かず。ちょっと残念。 高圧チアホーンの音も、レースアナみし奈さんによる紹介も、全然聞いてませんでした…。 |
このR1。ハーネスを始め電気系はすべてノーマルのまま。
ニュートラルスイッチも生きているので、ギアがローに入っているとセルは回らない。
そんなの聞いたのは、スタート直前。
ありゃ、そう言えばスタートの練習も全くやってなかったなぁ…。
てなわけで、エンジンを掛けてからギアを入れてスタート。コンマ何秒かはロスした?
早々に周回遅れになったが、直後の逆バンで土煙。
だーれだ? と通りすがりに見てみるとラッキーストライクの#33。「はい、消えた〜!」(実際には消えやしないんだけど...)
結構コケてるとこが多いし、こりゃ大事にいかないとなっ。
マシンが煮つまってないせいもあるだろうし、ライダーが衰えているせいもあるんだろうけど、今までになくすごい疲れる。これは長い8耐になりそうだ...。
燃料タンクと作戦 |
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ぼくらのR1の燃料タンクは容量をアップしていない。つまりスタンダードの18リッタータンク。 8耐では最大24リッターまで拡大が許されているが、その3分の2ということになる。この差は大きい。 8耐の規則ではライダーの連続走行時間は2時間だから、ピットインのタイミングは基本的にタンク容量で決まると言っていい。 満タンで走れる周回数が多いほど、作戦のバリエーションも増えるし、トラブルなどの際にも対応が効く。 今回はこのタンク容量と燃費から、当初は50分交代(9ストップ10セクション)で行く予定だったが、どうも50分も怪しいということになり、やや早めに1回目のピットインを行った。 しかし、あまりにも早すぎるピットインだったので、ピットインの回数を増やさねばならないのでは?と1回目の走行を終えてやや心配になった(しかし既に頭は回らなくなっていたので、とりあえずスタッフまかせ)。 しかし、そんな心配はその後の事件で関係なくなった…。 |
「しまった〜!」
ヘアピン手前の110Rで前車を抜いたのはいいが、あらぬラインを通ってしまって、ヘアピンのイン側へまっしぐら。
なんとか曲げようとするも、あえなくフロントからガッシャーン。
慎重に行くはずが何やってんだ俺は!?
あわててマシンを起こす。なぜか頭を打ったようで、左目のコンタクトレンズがずれてしまっている。
8耐の決勝でコケたのは初めて。こんなところでこんなに早い時間にリタイヤなんてできるはずがない。
マシンは大丈夫か?
ガードレールに立てかけたマシンをチェック。
外装はボロボロだ。スクリーンなどかけらもない。フロントブレーキのマスターシリンダーもイカれている。その他細かいところは損傷しているが…。頭の中で持ってきたスペアパーツを思い浮かべる。
うん。ピットまで帰れば、スペアパーツでなんとかなりそうだ。
問題はエンジン。グラベルに突っ込んでいるので、砂を吸ってしまっていたら...。
とにかくピットまで。しかし、エンジンが掛かるのか?掛けられるのか?
おそるおそるタンクを持ち上げてキャブボックスを覗いて見ると、砂利がたっぷり入り込んでしまっている。
車体の修理はなんとかなったとしても、エンジンがイカれたらもう終りだ。
砂利をかき出してみるがラチがあかない。
そうだ。キャブボックスごとはずしてしまえ!
「ぐげっ!」
キャブ、はずれた。。。(笑い話にもなりゃしない。いや立派な笑い話だな。)
気を取り直して、何度か取り付けを試みるが、どーにもなりゃしません。
あ〜ぁ、こりゃ最悪。覚悟を決めるしかないな。。。
「押す〜」とオフィシャルに宣言して、炎天下の長旅がスタート。
ピットまで帰れば絶対に直せる。時間がかかっても、戻ってそして最後まで走りたい。
このまま行き倒れてしまっては、岡田にもスタッフにも応援してくれるみなさんにも申し訳なさ過ぎる。
ヘアピンから200R、スプーン、裏ストレート、130R。
コースの左側(イン側)とは言え、こりゃ1時間半コースだなぁ、とほほ。
VTRに映ったものは... |
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スタッフの宇佐美くんの奥さんが、レーススタート後から、少しずつ移動しながらビデオを撮っていました。 130R・ダンロップコーナーで撮影したあと、ヘアピンへ移動。岡田の走行を録画。つづいてライダーチェンジした松島を追う。 12時45分過ぎ、ビデオのモニターに映ったのは、110Rを曲がり切れなかった#42。 フロントを滑らせ、グラベルに突っ込み、土煙を上げるところから、エンジンの始動をあきらめ、ピットへ向けて押して行くまで、その一部始終がビデオに収まっていたのだ! 偶然なのか奇蹟なのか? 彼女はピットと連絡を取り、ヘアピンの進入でコケたこと、キャブまわりをずっと見ていたこと、押してピットへ向かっていることを伝える。 そしてピットまでそのビデオを持ち帰ると、メカニックがそれを見て損傷箇所を予想、スペアパーツの準備をしていた。 自分のチームの転倒シーンに出くわすことも、それをビデオに撮っていたことも極めて偶然なことなのに、それを元に修復の準備までされていたとは…。 こんなぼくらは実は強運?(ならコケないか...(^ ^;) |
ヘアピンのアウト側だったら、押すのはずーっとコースの外周側。そしたら2時間半コースだったろうな。
ピットまで帰れば再スタートできるかなぁ、できるよなぁ、レースに復帰したいよ〜。最後まで走ってナンボの8耐だもんな。
暑いよなぁ、疲れるんだろうなぁ、点滴とかされちゃうのかなぁ、もう一度マシンに乗れるのかなぁ。
なんてことを思いつつ、ヘアピンから一気に200Rの外側の18番ポストまで押して行く。
この辺はコースのアウト側で、しかもランオフエリアは狭い。すぐ横をレーシングスピードでみなさん走っておられます。危ない危ない。さっさと行かないと。
ここまでたどり着くとすでに体力は激しく消耗。暑いし重い。
オフィシャルからの「ペナルティが付くけど、裏のストレート側へつながる通路があるので、ショートカットするか?」の問いに、ふたつ返事で答える。
スプーンまで行かなくていいのなら、かなり距離も時間も短縮できる。
ポストで水をもらい、飲みながら頭や体にもかけ小休止。
気を取り直して、今度は裏のストレート(西ピットの向かい側あたり)から130Rを目指す。
なんかずっと登りだな。。。
みんなに励まされながら |
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とにかくここからは本当にキツかった。 ちょっと進んでは休み、また押す。その繰り返し。 コースオフィシャルがリレーして押すのを手伝ってくれる。 そのオフィシャルに 「まだスタートして1時間半だから。時間はあるよ。休みやすみで大丈夫だよ。」 「ゆっくりでいいからピットまで帰って、直して、再スタートして、最後まで走ったら、パレードラップで思いっきり手を振ってよ。」 そう励まされると、嬉しいとか、悔しいとか、がんばるぞとか、そんな言葉では表現できない何かが、心の奥底から込み上げてきた。 途中、フェンス越しにお客さんにも「がんばれ〜」と声を掛けられました。 ライダーやスタッフだけでなく、オフィシャルもお客さんも、みんながゴールを目指すレース、それが8耐なんだと改めて感じた「旅」でした。 |
何度休んだかわからない。一歩一歩進んできて、ようやくシケインが見えるところまで来た。
転倒から約40分後、シケイン手前でオフィシャルの指示の元、間隙を縫ってコースを横断。ピットロードへ。ここからは下り坂だ。
マシンにまたがり惰性でピットロードを下って行く。
ピットエリアの入口にスタッフの姿が見える。
やっと帰って来られた。もう押さなくていいんだ。あとは頼んだ…。
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ピットへ! ピットの入口からはメカニックがピットを目指して押す |
グロッキー! なんとか帰っ来た松島は疲労と安堵でもうヘロヘロ。 |