〜 '99 鈴鹿8耐 奮戦記(起承転結の「結」編)〜




ゴールは見えるか?


目指せチェッカー。決勝のドタバタ記録はこちらで。
 (別ウインドウに表示されますので、切り替えながら読み進めてください)




 現在の周回数はちょうど100周。
 午後5時半前。残りは約2時間。
 1時間で25周がいいところなので、このままチェッカーまで行っても150周。
 トップはおそらく210周以上はするだろうから、75%の完走ラインには到達できそうもない。


 ライダー交代の直前。
 もし無事にゴールできたら、ヘアピンや裏ストレートのオフィシャルに目一杯大きく手を振ってくれ、と岡田への伝言をスタッフに託す。
 松島、最後の走行へ。


みんなの声
 レース中もモバイル部隊に、談話室への書き込みをお願いしました。ココ
 そしてそれを見た方々にもメッセージをいただきました。
 転んで、押して帰ってきて、復活したあとピットで見ました。とても力になりました。
 とにかく最後まで走りたい・・・スタートする前以上に、その気持ちは強いものになりました。ありがとう!!


 これが今年の8耐の最後の走行。
 老体(?)にムチ打って、力を振り絞って走りました。
 途中、同じピットだった#51 MOTO KIDSチームの鷲見さんとバトルになり、これは負けるわけにはいかないと、さらにキバったおかげで、エネルギーを使い果たし、ラスト5周はがっくりペースが落ちてしまいました。
(もちろん鷲見さんはやっつけておきました。えへん。(笑))


 松島の最後の走行のラスト数周、チェックを兼ねてライトオン。問題なし。

 おそらく最後になるであろうピットストップ。
 松島から岡田へチェンジ。
 気になったカウルステーの緩みを調整し、いよいよラストセクション。
 予定通り(?)ゴール担当の岡田が、まだ西日が眩しい中、チェッカーを目指す。



 午後6時45分、ライトオンのサイン。
 午後7時を過ぎるとみるみる暗くなってくる。
 ラストの岡田の走行は約55分。暗くなるとペースも落ちるし、燃費もおそらく心配ない。
 ただ、転倒も含め、トラブルは恐い。
 この時間に何かあると、修復の時間がほとんどないのでチェッカーを受けられなくなる可能性も出てくる。
 ピットとしてはひたすら祈るのみ。

 残り15分。あたりは闇に包まれる。
 だんだん自分達のマシンの判別もつかなくなってきた。
 もちろん、ライダーからもサインボードなど見えやしない。ひときわ暗い(?)黄色のヘッドライトとラップタイムだけが頼り。ピンクのカラーもよくわかりゃしない。

 ピットスタッフはどのチームも、サインエリアのプラットホームへと移動する。コンクリートウォールに立ち、自分達のマシンが通り過ぎる度に歓声を上げる。
 場内に午後7時30分を迎えるカウントダウンが響く。
 そしてトップがゴールラインを通過する時、99年の8耐のチェッカーフラッグが振られるのだ。


チェッカーそしてパレードラップ

 #4のバロスが来る前に岡田がホームストレートを行く。もう1周。
 そして午後7時31分59秒、ラッキーストライクホンダのマシンが真っ先にチェッカー。
 グランドスタンド前は大歓声とフラッシュの嵐。
 そして次々にマシンがゴール。サインエリアのあちらこちらで拍手と雄叫び。
「来た来た来た!」
 暗い黄色いライトが見えた! 岡田だ。

 スタートしてから8時間04分29秒914。。。ぼくらの8耐が終わった。ゴールだ。チェッカーだ。
 ゴールを見届けると、スタッフ同士でがっちり握手。
「お疲れさま...。」

 岡田がパレードラップでコースを1周する。 噛み締めるように。
 各ポストでオフィシャルが旗を振る。観客の声も聞こえる。至福の時。

 松島からの伝言を聞いた岡田は、ヘアピンや裏ストレートでは大きく手を振ってみる。
 オフィシャルの旗がより大きく振られている気がする...

 思っていた以上に、心に込み上げてくるものがある。
 それは完走できた(チェッカーを受けられた)嬉しさなのか、準備が報われた安堵なのか、スタッフへの感謝なのかわからない。
 岡田の目に涙が浮かぶ。

 ホームストレートに戻ってきた一団が、ピットロードを通り表彰台エリアまで移動する。
 ぼくらのピット前で一旦止まった岡田にみんなが駆け寄る。
 岡田の肩を、背中を、ヘルメットを、みんなが手荒く叩く。
 しかし岡田はうなずくだけで、ヘルメットのシールドを開けようとはしなかった。。。


岡田よ!あれが鈴鹿の星だ!
「岡田よ!あれが鈴鹿の星だ!」
ではなく、みんなの手荒い祝福のあと、車両保管場所への移動を促される岡田。



花火だ!ビールだ!

 ど〜〜ん!
 夏の鈴鹿の空に、戦いの終りを告げる花火が上がる。


 悔しい思いで見上げたこともあった。
 今この瞬間も悔しい思いで見上げているチームもあるだろう。
 今回もいろいろあったけど、チェッカーを受けられた者だけが味わえる最高の瞬間。

 達成感。安堵。ちょっと寂しさもあるかな。
 どこで見る花火より、どんなすごい花火より、この時間にここで見る花火がやっぱり一番だね。


 さぁ、ビールで乾杯だ!
 同じピットのMOTO KIDS チームと合同で、大狂乱の宴が始まる。
 他のピットでも、歓声・狂声・罵声が飛び交う。
 どこからともなく、ビールが水が雨のように降りかかる。


 そりゃもうすごいのなんのって。
 手持ちのビールが空になったあとは、クーラーボックス内の水が飛び散り、それが尽きるとプールの水がブチまかれる。
 それが空になってひと段落か?と思いきや、誰かが水道にホースを繋いでやがる!
 こりゃたまらん。無尽蔵だ。
 ぼかぁここで逃げました(笑)。



完走表彰式

 総合表彰式、S-NKクラスの表彰式の後、完走表彰式が行われる。
 今回から企画されたもので、完走チームを1チームずつお立台で紹介し、完走賞を授与するのだ。

 暫定リザルトが発表されたが、やはり規定周回数不足で、ぼくらは完走扱いになっていない。
 しかし、だ。
 ぼくらもあれ、やりてぇ...

 完走チームの紹介が落ち着いたところで、交渉してみる。
 「チェッカーを受けたんだから是非紹介して〜」


むりやり完走表彰式! むりやり完走表彰式!
「最後まで走ったぞ〜!」
完走チームの表彰式。「チェッカー受けたから...」と頼み込んで紹介してもらう。

みなさん、こんなぼくらに暖かい拍手をありがとう!



宴のあと

 あまり語られることのない宴のあとの様子を少々。

 乱痴気騒ぎが落ち着くと、関係者同士で挨拶やレースを振り返って立話しに花が咲く。
 同時に、その日のうちに撤収するチームは、ピット内の荷物が次々とトランスポーターへと運び込まれる。
 気付くといろんな物がビシャビシャになっていたりするんだな。水なんだかビールなんだか。
 あと、必ず誰のか分からない物が出てくる(パンツとかじゃないよ)。また自分の物が無くなってしまってたり。ホント修学旅行だよ、これじゃ。
 ちゃんとチーム名と名前を書いておきましょう。借り物は特にね。
 翌日はもう仕事に行かなきゃならない人もたくさんいる。
 ライダーですら「明日は仕事だぁ!」って言ってるヤツもいるくらい。(例:#76の柳本選手(^o^))
 夜の10時過ぎになると、パドックを出る車で大渋滞。
(サーキットを出るのに1時間以上かかった時もあった)

 ぼくらのチームもライダーふたりを残して、スタッフはみんな当日帰り。
 家に帰って「ただいま〜」って言うまでが8耐だからね。気を付けて帰ってね。。。
 ピットの荷物は月曜にライダーふたりで積み込みました。




いろいろありました。「リアルタイム記録〜エピソード編〜」はこちらで。


■ 「モバイル部隊の感想」は「風の部族」「コラム(99/07/26)」で。

■ ボロボロになったマシンの前で呆然とする、相棒 岡田 聡の独白



ありがとうございました!

結果としては完走にならずに、順位のつかないリザルトでした。
支援して下さったスポンサーさんや応援して下さったみなさんには、
結果を残せなかったことは申し訳なく思っています。

一方、今回はインターネットを使って、いろいろトライし、
結果だけでなく過程も(もちろん完全な形ではないですが)お伝えすることができたので、
幾分かは補えたのではないかと自負しています。

勝手ながら、ライダー松島は99年の8耐を十二分に満喫・楽しむことができました。
このページを通じてそれが伝わり、みなさんにも楽しんでいただけたのなら、
それはライダーとして、ホームページ運営者として、この上ない幸せです。

反省点も多々ありますが、
それは2000年以降に、なんらかの形で生かしていきたいと思います。


今回、出場にこぎ着けられたのも、転倒後に押して帰ってこられたのも、
チェッカーを受けることができたのも、
多くの方々に支えられてのことだと思っています。
厚く御礼申し上げます。


1999年"スプライト"鈴鹿8時間耐久ロードレース
#42 スポーツライダー&Eフリークス 松島 裕 / 岡田 聡 組
に、ご声援いただきありがとうございました!




2000年も8耐やります。
2000年鈴鹿8耐ページ



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